こうした損壊は、敷地内の東側で生じた。敷地の一番東側のアレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)、それもアレイ内の東側に集中している。アレイごと損壊している場所もある。

 北海道は、日本の他の地域に比べて、相対的に積雪が多い。そこで、道内のメガソーラーでは、一般的に太陽光パネルの設置角を大きくし、パネル最低部から地面との設置高(軒高)を大きく取ることが多い。

 また、パネル上に雪が積もった場合でも、損壊しないような耐荷重を備える。パネルの設置角が大きく、設置高を上げることも、架台の寸法と重量が増すことにつながり、満たすべき耐荷重性を引き上げる。

 こうした理由から、北海道の太陽光発電所は、他の地域に比べて頑強に設計・建設されていることが多い。

 本州や九州で50kW未満の低圧連系案件などに時折みられる、単管パイプをジョイントで組み上げたタイプの発電所は、まず見られない。北海道でそのような発電所を設置した場合、積雪荷重に対して不安があるからと思われる。

 釧路は、北海道内としては、比較的、積雪が少ない地域だという。そこで、積雪による耐荷重性は、比較的緩くなり、例えば、杭基礎などを活用しても、想定される最大の積雪量や風速に耐え得る構造を実現しやすくなる。

 今回、台風10号による強風で被災したメガソーラーも、杭基礎が使われている。

 釧路では、積雪は比較的に少ないものの、観測史上、最高風速が更新されるなど、近年は風が強くなってきているという。風速30m/sといった強風が吹くこともある。そして、釧路湿原の近くという、吹き曝しの場所に位置する。

 風速30m/sクラスの強風の際には、今回被災したメガソーラーは損壊せず、十分な強度を持っていると見られてきた。このため、今回、損壊した部分が受けた風は、過去の強風に比べても、さらに強かったのではないかと推察されている。

 架台との固定は維持されているものの、裏面の一部が黒焦げているパネルもある(図3)。何らかの理由によって、地絡(漏電)が生じ、過熱によって黒く焦げたと推測されている。

図3●裏面が黒焦げになったパネルも
図3●裏面が黒焦げになったパネルも
被災後の点検時の様子(出所:北海道電気保安協会)
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 こうした損傷や不具合を発見した場合、状況を顧客に報告するとともに、安全性の確保を目的に、損傷している部分を電気的に切り離すといった処置を提案する。顧客の承諾を得てから、接続箱のブレーカーなどを使って、損傷している部分を電気的に切り離す。

 万が一、火災などの重大な事故を生じているといった、緊急を要する状態の場合には、即座に電気的に切り離す。

 また、今後、不具合を生じることが予想される状態にあり、設備の交換などが必要と思われる場所については、その処置を助言する。

 損傷した設備は、発電事業者やEPC(設計・調達・施工)サービス事業者、O&M(運用・保守)事業者などが手配し、交換することになる。その施工後、再び電気的に接続箱などと接続する際には、北海道電気保安協会に所属する電気主任技術者の資格を持つ職員が立ち会い、復旧する。発電所そのものを送電線から解列した場合は、再投入の作業を担当する。