復旧前から姿が大きく変わる

 この太陽光発電所は、被災からの復旧時に、今回の水害の教訓を生かした対策が加わっていた(図4)。

図4●復旧後はコンクリートの壁を築いた
図4●復旧後はコンクリートの壁を築いた
上が被災直後、下が復旧後。橋の向こうに太陽光発電所が見える(出所:上は地域の住民が提供、下は日経BP)
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 一つは、流木や泥水が押し寄せた西と南に、防潮堤のようにコンクリートの壁を築いた。被災前は、通常の太陽光発電所と同じように、フェンスを張り巡らせていた。

 壁は大人の背丈よりも高く、2m近い。一般的なメガソーラーでは、まず見られない光景で、少し威圧感も感じる(図5)。

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図5●コンクリートの壁
図5●コンクリートの壁
一般的なメガソーラーでは珍しい(出所:日経BP)
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 万が一、同じような流木混じりの氾濫が起きたときに、敷地内の太陽光発電設備を守る狙いとみられる。

 もう一つは、架台の高さを、被災前よりも高くした(図6)。従来よりも、1m程度高くなっている。これは、水だけが押し寄せて壁を越えた場合でも、発電設備が浸水しないための対策とみられる。

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図6●架台を高くした
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図6●架台を高くした
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図6●架台を高くした
左の3枚が被災直後、右の3枚が復旧後。右下の画像では、空きスペースに異なるコンクリートの架台一体型の基礎が置かれており、太陽光パネルの増設に使うとみられる(出所:左は地域の住民が、右は日経BP)

 いずれも、コストアップの要因となる変更である。ただし、発電設備が同じように被災して、売電機会を逸する恐れは少なくなる。

 追加コストをかけてでも、極端な気象による川の氾濫に備えることが、災害リスクを減らし、長期にわたる売電事業を安定化させると考えたものとみられる。