消費者安全調査委員会(消費者事故調)は10月31日、住宅用の太陽光発電システムで、火災などの事故が増えつつあることから、調査・分析対象に選んだと発表した。同日、開催した消費者事故調で決定した。

 今後1年間をめどに、これまで発生した住宅用太陽光発電システムの火災や、火災につながる事故について、関連事業者への聞き取りなどの調査を進めて原因を究明し、再発防止策を打ち出す。

 消費者事故調は、暮らしの中で日常的に接する身近な製品や食品による重大な事故や被害の原因究明、対策を講ずる機関で、消費者庁に置かれている。2012年に消費者安全法に基づいて設置された。

 住宅用の太陽光発電システムは、2015年12月時点で設置件数が約193万件に達しており、今後も増加が続いていくと予想されている(図1)。

図1●住宅用太陽光発電システムの設置は約193万件
図1●住宅用太陽光発電システムの設置は約193万件
設置件数が増えるにつれて、火災につながる事故が増加(出所:太陽光発電協会の提供資料などを基に、消費者庁が作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 設置件数の増加とともに、火災や火災につながる過熱、発煙、発火といった事故が相次いでいる。これまで、死亡や重症といった重大な人的被害には至っていないものの、火災は発生している。太陽光発電システムを構成する製品の発火、屋根の半焼などである。

 しかも、太陽光発電システムは、他の身近な家電製品や自動車などと比べて、使用年数が長い。今後も火災につながる事故の起きる可能性があり、重大な人的被害が起きていないうちに予防策を打ち出し、安全な設置、運用を促す狙いがある。