土地をかさ上げし、背の高い架台を採用

 浸水した地域には、太陽光発電所もあった(図3)。被災を報じる空撮画像などを見ると、この場所も水に浸かっているように見えた。発電設備は、無事だったのだろうか。

図3●浸水地域にある太陽光発電所
図3●浸水地域にある太陽光発電所
右の赤丸が、紀の川市貴志川町丸栖の浸水地域にある太陽光発電所。左は対岸の非浸水地域にある太陽光発電所だが、台風通過後は泥水で溢れていた場所にある(出所:国土交通省のデータに日経BPが加筆)
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 現地に向かうと、水はすでに引いていた。田んぼの周辺にある住宅や店舗といった建物は、少しかさ上げされた場所に建てられている。大雨で周囲が浸水する状況も、ある程度、想定して設計されているようだ。

 太陽光発電所も同様で、まず、地面が周辺より数十cmかさ上げされていた(図4)。さらに、架台を高く築き、太陽光パネルの設置高は、2m近くまで上げられていた。接続箱も当然、高い位置に設置されている。

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図4●貴志川町丸栖の浸水地域にある太陽光発電所
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図4●貴志川町丸栖の浸水地域にある太陽光発電所
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図4●貴志川町丸栖の浸水地域にある太陽光発電所
地面をかさ上げ、架台は高く。高圧配電線への連系用のキュービクルの基礎も通常より高く1m近い(出所:日経BP)

 こうした背の高い架台は、北海道や東北・北陸の豪雪地域を除き、まず見られない工夫である。架台の材料が増える分、コストが高くなるためである。

 高圧配電線に連系するための昇圧変圧器(キュービクル)も、コンクリート基礎が通常よりも数十cmは高く、1m近くあった。これらの対策によって、今回のような用水路の氾濫によって、周囲の田畑などがある程度、浸水したとしても、発電設備は水に浸からない設計となっている。

 最も浸水しやすい高さにあったのは、昇圧変圧器だった。今回、浸水したかどうかは不明である。

 架台は、木製だった(図5)。基礎は、杭を採用していた。

図5●架台は木製だった
図5●架台は木製だった
紀の川市貴志川町丸栖の浸水地域にある太陽光発電所(出所:日経BP)
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