太陽光発電所で多く起きているトラブルの一つが、落雷によるものである。雷対策などを手がけるサンコーシヤ(東京都品川区)による、落雷に伴う太陽光発電設備への影響や、その対策などを紹介する。

 前回紹介したように、国際規格が想定している以上の落雷が発生する地域では、その地域に特有の雷対策が必要な場合がある。

 日本においても、太陽光発電システムと同じ再生可能エネルギーとして注目されている風力発電設備に対して、特別な雷対策が求められている地域がある。代表的なものが、日本海沿岸地域などで発生する「冬季雷」で、非常に強い電気エネルギーを持つため、雷対策を実施する上で十分な検討が必要となる。。

 日本では、雷は夏に多く発生する印象が強い。しかし、実際には、夏以外の季節でも発生している。この冬季雷は、文字通り、冬に発生する。

 冬の間、寒冷前線に沿って発生する雷で、日本海沿岸と、ノルウェーの西岸、北米五大湖東岸のみで発生することが知られている。

 放電時間が長いため、電気エネルギーが非常に大きい。夏の雷に比べて、100倍以上の電気エネルギーに達することがある。

 また、夏季雷の多くが下向きに放電するのに対し、冬季雷は、上向きに放電する場合がある。冬季雷には、未解明な点が多いが、上向きに放電する理由の一つとして、冬季雷が夏季雷と比べて、雷雲底の高度が低いために、地表面の構造物における初期の電界が強くなり、鉄塔などの高い構造物を起点に、空に向かって放電すると考えられている(図1)。

図1●強いエネルギーで、上向きに放電する冬季雷
図1●強いエネルギーで、上向きに放電する冬季雷
夏の雷に比べて、エネルギーが100倍以上に達することも(出所:サンコーシヤ)
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