今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。
今回、紹介するのは、太陽光パネルの「クラスタ故障」である。
「クラスタ故障」は、不具合によって出力の低下したセル(発電素子)が生じた結果、バイパスダイオードが働いて、パネルの3分の1ごとにわかれている複数のセルの組(クラスタ)ごと、発電を停止している状態を指す(図1)。
ドローン(無人小型飛行体)による熱分布画像の空撮で発見しやすい不具合の一つとして知られるが、今回の例は、発電所の稼動前に実施する使用前自主検査(竣工検査)を受託した際に発見したもので、ドローンによる空撮で発見したものではない。
この発電所は、パネルの設置枚数が6万枚を超える大規模なサイトで、ストリング(太陽光パネルを接続した単位)は3500回路以上となっている。
使用前自主検査の手順に従って、まずアイテス(滋賀県野洲市)の点検装置「ソラメンテZ」を使い、接続箱内の入力端子を通じて、すべてのストリングの発電状況を点検した(図2)。これによって、発電状況に不具合のあるストリングを把握した。