太陽光発電所で多く起きているトラブルの一つが、落雷によるものである。雷対策で実績の豊富なサンコーシヤ(東京都品川区)の知見に基づき、落雷に伴う太陽光発電設備への影響や、その対策などを紹介する。

 これまで解説してきたように、電気機器は、「直撃雷」と「誘導雷」のいずれによっても、電気的な性能を損傷することがある(第1回第2回第3回)。

 「直撃雷」は、建物や機器、送電ケーブルなどに、直接、雷が落ちることを指す。「誘導雷」は、設備の近くに雷が落ちた際の電磁界によって発生する。落雷による電気エネルギーが空間を伝搬し、送電ケーブルや通信線などに雷サージ(雷の影響により、瞬間的に発生する過電圧や過電流)が入り込み、電気機器に定格を大きく超える電圧がかかり、損傷することを指す。

 この対策として、主にサージ防護デバイス(SPD)が使われている。電気機器の絶縁性能を破壊し、機器の機能を損傷させるといった被害から保護する手法として、ほとんどのメガソーラーで設置されている。

 太陽光発電所では、接続箱やパワーコンディショナー(PCS)、集電箱、昇圧変圧器、分電盤といった、発電に直接、関わる設備にSPDを実装すれば、対策は万全と思われるかもしれない。

 ここに、一つの落とし穴がある。

 現在の太陽光発電所では、ICT(情報通信技術)を使い、発電の状況や発電設備の状況などを遠隔で把握する仕組みが導入されている。気象センサーや日照計、接続箱やPCSを通じて発電状況を把握するための遠隔監視システムなどである。

 実は、こうした付帯設備が落雷で電気的に損傷したり、付帯設備を通じて発電設備が電気的に損傷することが少なくない。

 気象センサーや遠隔監視システムでは、データを計測し、送信するために、別の専用のケーブルが敷設されていることが多い。データの送信には、通信線も必要で、これも別の専用線が敷設されていることが多い。