産廃処理事業者に提供された情報が不十分な場合も

 被災によって破損パネルを排出した側の調査結果では、16事例のうち6事例が、廃棄物が含む可能性のある有害物質に関して、なんらかの情報を産廃処理事業者に提供していた(図2)。

図2●廃棄するパネルが含む可能性のある有害物質の情報を提供する必要がある
図2●廃棄するパネルが含む可能性のある有害物質の情報を提供する必要がある
台風による水害で被災した化合物型太陽光パネルの例(出所:日経BP)
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 ところが、廃棄する多結晶シリコン型パネルは、「無鉛はんだ使用のため有害物質(鉛)を含有していない」といった情報の場合があった。しかし、実際にはメーカーによって、過去に製造した太陽光パネルには鉛を含む場合があり、有害物質の含有の可能性を否定できない。

 この例では、使用済みの太陽光パネルは、破砕、焼却の上、一部の無機材料がマテリアルリサイクルされた。

 残りの10事例では、排出者は、廃棄を委託する太陽光パネルが、有害物質を含有している可能性を認識しながらも、パネルメーカーに有害物質に関する情報を照会・確認することなく、産廃処理事業者に情報を提供しなかった。

 この結果、処理された使用済み太陽光パネルは、有害物質の含有が未確認のまま、3事例は、遮水設備のない安定型処分場に埋め立てられた。5事例は、遮水設備のある管理型処分場に埋め立てられるなど、処理の手法はわかれた。

 総務省は、太陽光パネルを処理した経験のある産廃処理事業者も調査した。25事業者に処理の経験があり、排出者から使用済みパネルの有害物質に関する情報の提供を受けたことがあるのは、6事業者・10事例にとどまった。

 有害物質に関する情報が提供されなかった場合でも、産廃処理事業者が、有害物質を含んでいる可能性を認識している場合がある。調査では、13事業者・21事例が該当した。

 この場合の対処の状況は、有害物質が含まれていることを前提として処理(1事業者・1事例)、排出者などに有害物質関連の情報を照会・確認(4事業者・6事例)した例のほか、排出者やパネルメーカーに照会・確認するなどの対応をとらず、有害物質の含有の可能性の認識が十分あったとは言い難い例(8事業者・14事例)があった。

 この「有害物質の含有する可能性の認識が十分あったとは言い難い例」では、有害物質に関する情報が未確認のまま、焼却・マテリアルリサイクル(3事業者・6事例)、遮水設備のない安定型処分場に埋め立て(2事業者・2事例)、遮水設備のある管理型処分場への埋め立て(4事業者・6事例)という処理がなされていた。