両面ガラスの太陽光パネルによる信頼性の向上について、中国の大手太陽光パネルメーカーの日本法人であるトリナ・ソーラー・ジャパン(東京都港区)が開催した発表会の内容から紹介している。従来の樹脂製バックシートを使った太陽光パネルにおける信頼性の課題を、2枚のガラスで挟み込んだ密閉構造によって解消する(関連ニュースメガソーラー探訪の関連記事)。

 現在の太陽光パネルは、樹脂製バックシートとアルミ製フレームを使って封止する構造によって信頼性を向上し、25年間といった長期間の出力保証を実現できるまでになってきている。

 今後、さらにメガソーラー(大規模太陽光発電所)の信頼性の向上を求める場合、それを可能にする技術として、両面ガラスの太陽光パネルが注目されている。

 従来の太陽光パネルの課題の一つに、周囲を覆うアルミ製フレームと、カバーガラスの境に、土埃などが溜まりやすいことがある。フレームによる段差が、土埃などを堰き止めるように働くことで、傾けて設置したパネル底部のフレームとガラスの境で生じる。

 土埃だけでなく、桜島や阿蘇山などの火山に近いメガソーラーでは火山灰が、北海道や北陸、東北などの多雪地域では雪が、同じ理由でパネルの上から落ちにくくなる。

 風に乗って飛ばされてきた土埃は、太陽光パネルの上に乗ったとしても、雨が降ると、そのほとんどは雨水に流されてパネルの下に落ちていく。パネルの設置角が大きいほど、流れ落ちやすくなる。

 土埃がフレーム付近に溜まることがあったとしても、発電にはほとんど影響しない。

フレームレスでも、10度の傾きは必要

 しかし、設置角が小さい場合などに、土埃が一定以上に積み重なってくると、状況が変わってくる。雨が降ると、流れ落ちることがなくなるどころか、どろどろになって、より強く固まるようになってしまう。

図●フレームと自己洗浄作用
図●フレームと自己洗浄作用
パネル上の土埃や積雪の堆積に影響 (出所:トリナ・ソーラー・ジャパン)
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 こうなってくると、高圧洗浄機などを使って、強い圧力で水をかけて洗い流すといった方法でないと、パネル上から除去できなくなり、O&M(運用・保守)のコストが上がってしまう。

 同社の両面ガラスの太陽光パネルは、フレームがないために、雨による「セルフクリーニング作用」が向上するとしている。フレームがないために段差がなく、土埃や火山灰、雪などを堰き止めるものがなく、より流れ落ちやすい。

 ただし、フレームがないパネルであっても、設置角が小さいと、やはり雨が降っても、スムーズに流れ落ちにくくなるという。トリナ・ソーラー・ジャパンによると、設置角が10度以下になると、流れ落ちにくくなるため、10度は確保して欲しいという。