太陽光発電所のパワーコンディショナー(PCS)による単独運転防止機能に関する障害が表面化している。2017年春に、九州電力が周辺の住宅の照明への影響やその対策を発表し、広く知られるようになった。中部電気保安協会が電気保安管理業務を受託している太陽光発電所の中にも、PCSが類似する原因で稼働を止める事例が出てきたという。

図●中部電気保安協会による太陽光発電所の点検の様子
図●中部電気保安協会による太陽光発電所の点検の様子
画像は、高圧送電線に連系している発電所における例(出所:日経BP)

 九州電力が発表したのは、低圧連系の太陽光発電所のPCSが備えている「新型能動的方式」の単独運転防止機能による障害です。九州の一部の低圧連系の太陽光発電所において、この単独運転防止機能によって、「大量の無効電力が電線路に注入された結果、電線路の電圧が繰り返し変化し、住宅の照明のチラつきなどを引き起こす“電圧フリッカ”と呼ばれる現象が生じている」という障害でした。

 「電圧フリッカ」は、これまでも電気炉やX線装置などによって、電気の使用量が急激にかつ頻繁に変化する場合に、発生することがありました。

 単独運転防止機能は、PCSが備える重要な機能の一つです。連系先の送配電線の停電や故障を検出すると、送電線と太陽光発電設備を切り離して、電気的な事故を防いで安全を確保する役割を担っています。

 例えば、停電しているはずの送電線を保安点検している時に、太陽光発電所から送電が続いていると(単独運転)、点検作業者が電気的な事故に遭ってしまったり、送電線側の故障点の被害を拡大してしまう恐れがあります。こうした事故を防ぎます。

 そして、単独運転防止機能には、「受動的方式」、「従来型能動的方式」、「新型能動的方式」の3種類があります。それぞれ方法に違いはありますが、大まかに、太陽光発電所が単独運転に移行した場合、顕著になる電気の位相や周波数の変動を検出するものです。

 「従来型能動的方式」、「新型能動的方式」では、連系先の送配電線を流れる電気の周波数の変化率を見ています。連系先の送電線に、無効電力を注入して周波数の変化を助長させ、高速に単独運転を検出できる利点があります。

 九州電力の発表では、電圧フリッカが発生しやすいのは、太陽光発電出力が比較的多く、かつ、電力需要の少ない日時としています。そして、対策として、電圧フリッカ発生の恐れがある場合には、電力側の電圧を調整する機器の操作をできる限り避けるなどのほか、太陽光発電所側には、新型能動的方式の単独運転防止機能を備えたすべてのPCSメーカーの製品を対象に、「PCSの設定変更」を求めました。

 この設定変更は、無効電力の量を減らすことを目的としたものと報じられています。