大規模倉庫ならではの対策を提言

 国交省と消防庁による検討会の報告書によると、今回の倉庫の火災時には、防火シャッターの約60%が正常に作動しなかったことが確認されたという。

 火災で焼損した2階と3階にある133カ所の防火シャッターのうち、61カ所が作動せず、作動したもののコンベアーや物品などが障害となり、閉鎖できなかった防火シャッターが23カ所、崩壊しており作動したかどうかが不明な防火シャッターも4カ所あった。

 このコンベアーは、防火シャッターの作動を阻害しない設計となっていたという。防火シャッターが作動した際には連動して動き、降下する防火シャッターとの衝突を回避するシステムが備わっていた。

 しかし、今回の火災時には、この連動システムが適切に作動せず、防火シャッターの閉鎖を阻害していた場所が多数あったとしている。今後、大規模な倉庫では、コンベアーや物品による防火シャッターの閉鎖障害を発生させないための対策が必要としている。

 作動しなかった防火シャッターの中には、火災の中で、主要な幹線に直結して設置されているアナログ式感知器の周囲などにおいてショートが発生し、自動火災報知設備の配線の一部が機能しなくなったことが原因とみられるものもあった。

 こうした状況に加え、スプリンクラー設備が設置されていないといった状況が想定される。このため、今後、同様の火災が生じた場合、初期の消火が困難となって火災の範囲が拡大する恐れあることから、このような大規模倉庫を対象とした対策が必要と提言している。

 また、今回の火災では、屋外の消火栓設備を使った初期消火の際、ポンプを起動させておらず、初期消火に十分な放水量が得られなかった。加えて、火災の発見者が自力で初期消火を試みたことなどから、結果として、自動火災報知設備の鳴動から約7分が経過するまで、消防に119番で通報されなかった。

 今後、大規模な倉庫で火災の拡大を防止するために、従業員が火災発見時に速やかに通報するとともに、屋内や屋外の消火栓を使って確実に初期消火できるように対策することが不可欠としている。