今回の倉庫の消防活動の管轄消防機関となった、入間東部地区消防組合消防本部の活動記録によると、出火当日の2月16日の9時14分に通報を受け、先発隊が現地に向かった後、比較的早い段階で太陽光発電電力の遮断に動いている(図3)。
10時30分ころに、倉庫の従業員からの情報を元に、太陽光発電システムの遮断を指示した。まず、倉庫の屋内に設置されたパワーコンディショナー(PCS)を遮断できた。PCSまでの直流の回路は遮断できていないことから、消防活動用の無線で、太陽光発電システムに関する危険情報を周知した。
太陽光パネルと接続箱は、屋上に設置されていた。今回の倉庫では、同消防本部の活動記録によると、集電箱も屋上に設置されていたようだ。いずれも、この時点では火災の状況から、近づくことが難しく、接続箱や集電箱のスイッチを切って遮断するまでには至っていない。
同日14時44分には、はしごによる放水隊に対して、屋上の太陽光パネルに放水している間は、「棒状注水」を禁止するとする「危険情報」が発された。棒状注水とは、水を霧状ではなく、棒状にして噴射する方法を指す。
日中は、太陽光パネルは発電を続けている。稼働中の電気設備に対する消火では、棒状に注水すると感電の恐れが高まる。今回の検討会の報告書などでは触れていないものの、ドイツではこれによって消防士が死亡した例があり、こうした危険を避けるための対策だったと思われる。
屋上に設置された接続箱と集電箱のスイッチを使って、直流の回路を遮断できたのは、出火翌日となる2月17日の15時45分のことだった。電気主任技術者と消防士3人が遮断したと記されている。
火災後の空撮画像を見ると、屋根の一部は大きく凹んでいる。この部分の上に乗っている太陽光パネルは、屋根の凹みに引っ張られるように変形している様子がみえる(図4)。
また、燃えたような跡が見える太陽光パネルもある。