「強風」に対しては十分に耐えられるが...

 「猛烈な台風」の区分となる、風速54m/s以上を大きく超えた数値となっており、この要件を満たしていれば、「強風」に対しては十分に耐えられると考えられる。

 問題は、この2400Paの荷重による試験が、「猛烈な台風」が通過する際に吹く、「突風」による風圧にも相当しているのかどうかである(図3)。

図3●2400Paの荷重による試験の様子
図3●2400Paの荷重による試験の様子
IEC61215、IEC61646に基づく(出所:ケミトックス)
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 強い風に関する規格である「IEC61215」によると、突風を考慮する際の基準となる、安全係数3の風圧(±2400/3=±800 Pa)に換算すると、現状の試験で求められている2400 Paという圧力は、風速36m/sに相当すると規定している。

 すなわち、突風まで考慮した場合、現状の試験時の2400Paという圧力では、「猛烈な台風」には対応できていないことになる。「猛烈な台風」における風速54m/s以上の「強風」には相当しても、同じ風速の「突風」まではカバーできていない。

 例えば、風圧60m/sの「突風」に相当する安全係数3の風圧は、約7200Paとなる。

 こうした状況から、突風を想定して、現状の規格よりも高い圧力で試験し、太陽光パネルの風荷重に関する実力を評価すべきとしている。とくに、パネル内の風荷重への強度が低い部分を確認しておくべきだという。

 そこでケミトックスでは、風荷重に関する試験を依頼された場合、対象となる太陽光パネルの限界荷重を確認することを勧めている(図4)。

図4●強度が低い場所を確認しておくことが重要に
図4●強度が低い場所を確認しておくことが重要に
「突風」への強度を評価する場合に推奨している限界荷重試験(出所:ケミトックス)
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 太陽光パネルにかかる荷重を徐々に増やしていき、パネルが壊れるまで荷重を増していく。約8000Paをかけた段階で、カバーガラスが破損するといった、突風時に想定される状況を確認できる。