太陽光パネルは、カバーガラスが割れるだけでなく、外周を覆うフレームが曲がって外れてれしまった(図2)。もちろん、規格で示された耐荷重性能を満たしていたが、こうした損傷が生じた。

図2●積雪でアレイ下部の太陽光パネルのフレームが曲がる、外れる
図2●積雪でアレイ下部の太陽光パネルのフレームが曲がる、外れる
山梨県北杜市にある浅川太陽光発電所の例(出所:ケミトックス)
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 現在の規格における機械的な荷重に関する要件は、太陽光パネルを水平に置いた状態で試験・評価している。パネルの表面・裏面に対して、主に垂直方向に力をかける。

 これに対して、実際の太陽光発電所では、パネルは一定の角度に傾けて設置されている。

 傾けて設置したパネルへの積雪荷重は、不均一なものとなり、パネルの表面・裏面の垂直方向だけに限定されず、さまざまな方向にかかる(図3)。さらに、滑り落ちる際には、また異なる方向の力がパネルに加わることになる。

図3●傾けて設置することで、下側のフレーム方向に荷重が生じる
図3●傾けて設置することで、下側のフレーム方向に荷重が生じる
設置角を考慮した積雪荷重に関する規格も策定中(出所:ケミトックス)
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 中でも、パネルの低部側のフレームには、内側から外側に押し出すような方向の荷重になる。これによって、フレームが外側に曲がり、パネルからひき剥がしてしまうように損傷する。

 実際に、アレイ(太陽光パネルを架台に設置する単位)の下部のパネルほど、フレームが外れる損傷が起きやすい。

 こうした設置角を考慮した積雪荷重を想定した規格は、現在、IECで策定に向けて検討中という。

 現状では、こうした積雪荷重によるフレームの外れを想定した試験を求められた場合、ケミトックスでは、太陽光パネルを立てるように置き、フレームとの接合部に力をかける試験を実施している。こうするとフレームに力がかかり、積雪時におけるフレーム外れに対する耐力の参考になるという(図4)。

 また、同社では、設置時に実際に使う金具を採用した試験にも対応している。

図4●フレームのひき剥がしを想定した試験
図4●フレームのひき剥がしを想定した試験
フレームに対して垂直方向の荷重(出所:ケミトックス)
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