2016年4月に起きた熊本地震は、震度7をはじめとする強い揺れが続いたことで、熊本県を中心に、甚大な被害を及ぼした。この地震で大きく動いた断層の直上やその近隣と、それ以外の場所では、被害の状況に大きな違いがあった(関連コラム1:益城町にて、地震後のメガソーラーを巡る、同コラム2:益城町の住宅用太陽光の教訓、同コラム3:「地震で約半年遅らせました」、熊本最大のメガソーラー竣工)。

 太陽光発電設備に関しては、住宅の屋根上太陽光が建物と共に損壊した例は目立ったものの、地上設置型の事業用太陽光発電所については、大きな被害例が報じられず、「野立て太陽光は地震の影響を受けにくい」という印象を与えていた。

 しかし、断層の直上や近隣に立地している太陽光発電所の中には、地震の大きな揺れや断層の動きによって、大きな被害を受けた発電所があった。今回は、デンケン(大分県由布市)が開発や運営に関わっているメガソーラー(大規模太陽光発電所)における被災例を紹介する(図1)。

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図1●PCSなどを支える基礎が傾き、法面が崩れ、アレイも波打った
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図1●PCSなどを支える基礎が傾き、法面が崩れ、アレイも波打った
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図1●PCSなどを支える基礎が傾き、法面が崩れ、アレイも波打った
(出所:デンケン)

 デンケンが熊本県内で開発・運営しているメガソーラーの1つに、熊本市南区城南町藤山に立地する「ソーラーファーム城南藤山」がある。城南町に近い益城町は、熊本地震において、震度7を2回、計測するなど、最も強く揺れた地域だった。

 太陽光パネル出力は約1.126MW、連系出力は1MWである。熊本地震が起きた前年の2015年8月に売電を開始していた(図2)。

図2●ソーラーファーム城南藤山
図2●ソーラーファーム城南藤山
(出所:デンケン)
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 地震の後、敷地内では、コンクリート基礎が大きく傾き、割れていた。法面をはじめ、地割れした地面に雨水が流れ込んで崩れ、土木の補修が必要になった場所もあった。