南端に調整池を新設

 是正工事のもう1つのポイントが治水対策だった。事業用地は、南に緩やかに下る斜面で、その点で太陽光発電所には、絶好の地形と言える。南端には、「海上の森」向かって流れる谷戸(沢)があり、大雨が降ると、そこに雨水が流れていくことになる。

 環境団体などが指摘した問題点の1つは、この排水の影響だった。フジ建設は、約2.3haの開発面積のうち、約1ha分を伐採して造成していた。その分、保水力が低下する。アレイ(パネルの設置単位)には、雨どいがないため、大雨の際、土砂を含んだ表面流水となりやすい。この濁流が谷戸を通じて「海上の森」に流れる恐れを指摘されていた。

 県もこうした点を指摘し、南端に新たに調整池を設けることを求め、是正計画に盛り込まれた。アレイ7列を撤去し、保水力の落ちた1ha分の表面流水を貯める調整池を建設した。完成した池を見ると、壁面は、砕石を積み、金網で固定した構造になっている(図9)。

図9●南端に新設した調整池
図9●南端に新設した調整池
(出所:日経BP)
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 砕石の層にはフィルター機能があることから、土砂の流出を防ぎつつ、貯まった雨水を地中に浸透させ、徐々に谷戸に流すことを想定した設計になっている。加えて、谷戸に面した法肩には土嚢を積んで、崩壊を防いでいる(図10

図10●法肩を土嚢で補強した
図10●法肩を土嚢で補強した
(出所:日経BP)
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