日本は世界有数の地震国。家屋の損壊するような大きな揺れも多い。大規模な震災が起きた時、太陽光発電システムはどのような影響を受け、どのように安全が保たれ、どのように損傷したのか――。今回のシリーズでは、住宅用を中心に太陽光発電のオーナーで構成する、特定非営利活動法人(NPO法人)・太陽光発電所ネットワーク(PV-Net:東京都文京区)による調査結果や提言などを紹介する。

 今回は、被災した住宅に設置されていた太陽光パネルの撤去について、紹介する。被災によって損傷・損壊した住宅を解体する際に、屋根上から取り外された太陽光パネルである。

 熊本地震の後、益城町を含む被災地域では、被災した住宅などから撤去したり、住宅の解体時に排出した廃建材の仮置場が設けられた。PV-Netの現地調査では、益城町に設けられた仮置場において、太陽光パネルを分別している状況を確認できた()。

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益城町の災害廃棄物仮置場における太陽光パネルの分別収集の様子
益城町の災害廃棄物仮置場における太陽光パネルの分別収集の様子
コンテナ4台がパネル回収用に用意されていた(出所:PV-Net)
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 被災住宅から太陽光パネルを分別・収集する取り組みは、国内初のことという。

 この太陽光パネルの分別収集は、環境省の指示を受け、地方自治体が取り組んだ。熊本県の通達により、「公費解体」による被災住宅の解体時に、太陽光パネルは分別して保管することを求めた。

 「公費解体」とは、所有者の申請に基づき、地方自治体が所有者に代わって、解体・撤去する措置を指す。

 環境省の方針により、今回、公費解体の対象となった住宅については、廃建材から太陽光パネルを分別して集められた。

 益城町の仮置場では、太陽光パネルの収集用に、4個のコンテナが用意されていた。撤去されて仮置場に持ち込まれた太陽光パネルの状態によって、外枠のフレームが装着されたまま収集されているパネルと、フレームがなくなっていたり、外されたりした状態で収集されているパネルがあった。

 こうして集まった太陽光パネルは、外観からは損傷していないように見える場合でも、再使用(リユース)することは、現実的には難しいとみられる。太陽光パネルメーカーからは、保証の対象外とされる場合がほとんどだからだ。

 そこで、破砕・焼却など中間処理後に産廃として廃棄するか、素材ごとに分別してリサイクルしたり、再資源化に回されることになる。