日本は世界有数の地震国。家屋の損壊するような大きな揺れも多い。大規模な震災が起きた時、太陽光発電システムはどのような影響を受け、どのように安全が保たれ、どのように損傷したのか――。今回のシリーズでは、住宅用を中心に太陽光発電のオーナーで構成する、特定非営利活動法人(NPO法人)・太陽光発電所ネットワーク(PV-Net:東京都文京区)による調査結果や提言などを紹介する。

 今回は、熊本地震による住宅用太陽光発電システムの被災調査の結果から、太陽熱温水器やヒートポンプ給湯機「エコキュート」に関する内容を紹介する。

 太陽熱温水器は、太陽光パネルと同じように、住宅の屋根上に設置されている。熊本地震で被災した住宅の中には、太陽熱温水器が瓦屋根に後付けされていたものもある。

 こうした住宅において、太陽熱温水器が重石のように働き、下の瓦が地震の衝撃で飛び跳ねるのを防いだように見える例もある。逆に、太陽熱温水器によって屋根への荷重が集中し、それによって屋根や家屋に損傷が生じている例もあった(図1)。

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図1●屋根が損傷していたり、崩落している太陽熱温水器も
図1●屋根が損傷していたり、崩落している太陽熱温水器も
満水時の重量は重く、荷重が集中する(出所:PV-Net)
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 太陽熱温水器が、屋根から崩落していた住宅もあった。

 太陽熱温水器の満水時の重量は、数百kgに達する。この状態で震度7といった強い地震の揺れを受けると、面積当たりの荷重が大きくなっている部分では、損傷や崩落が生じる恐れがある。