また、PCSまでは太陽光発電電力が流れている状態でも、分電盤のブレーカーを使って遮断していた住宅もあった。

 傾斜のない平面状の「陸屋根」の住宅における例では、壁の屋外側に設置されたPCS内のスイッチはオンのままで、遮断できていなかったが、隣にある分電盤のブレーカーで遮断していた(図3)。

図3●分電盤のブレーカーで遮断していた例
図3●分電盤のブレーカーで遮断していた例
益城町木山南における住宅の例(出所:PV-Net)
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 この場合、送電線への出力は遮断できているが、PCSまでは直流の電流が流れており、住宅の損傷次第では、太陽光発電電力により二次災害が生じていた恐れもある。

 PV-Netによると、こうした接続箱やPCSに適切な処置が施されていた例では、居住者と旧知、あるいは、近所の電気工事関係者が関与していた場合が多い。

 益城町の場合、人口が約3万人と小さく、電気工事関係者を含む地域のネットワークが機能する規模だった。これが、住宅用太陽光発電システムに対して、一定の対応が実現できていた理由の一つではないかと見ている。

 規模の大きな町や都市で、同じような住宅の被害が生じていた場合、接続箱やPCSに適切な処置が講じられないままの住宅の比率が高くなっていたのではないかと予想している。

 規模が大きな地域で、居住者自身が接続箱のスイッチを使って遮断するという、ベストな手法がそれほど多く講じられない状況を想定した場合、できるだけ多くの住宅の太陽光発電システムの発電電力を適切に遮断するには、どのような手法が有効なのだろうか。

 PCS以降を指す「2次側」で遮断する手法に注目しているという。例えば、注目している技術の一つに、太陽光パネルごとにPCSを備える「マイクロインバーター」がある。

 コストなどの面から、日本ではほとんど普及していない手法だが、被災時などに太陽光発電電力をパネルの直近で遮断しやすく、太陽光発電システムに起因する二次災害の防止の観点からは、有効ではないかとみている。