2018年夏から秋にかけて、国内各地で記録的な強風や豪雨を伴う台風の通過が相次いだ。住宅や社会インフラ、山林、河川などに大きな被害をもたらし、それらの地域に立地している太陽光発電所のなかには、大きく損壊するなど被害を受けた場所もあった。9月30日に日向灘を強い勢力で通過し、宮崎県内を暴風雨にさらした台風24号によって、同県内で被災した太陽光発電所の例を紹介する(その1:北東からの強風で、基礎ごとアレイが吹き飛ぶ、その2:強風に揺すられ、スクリュー杭が抜けアレイが吹き飛ぶ)。

 今回紹介するのも、宮崎市内にある低圧配電線に連系している事業用太陽光発電所である(図1)。敷地の東側にあるアレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)のうち、二つからほとんどの太陽光パネルが外れ、地面に放置されている。

図1●東側の二つのアレイから太陽光パネルが吹き飛んでいる
図1●東側の二つのアレイから太陽光パネルが吹き飛んでいる
(出所:日経BP)
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 この事業用低圧太陽光発電所の場合、敷地内の東のアレイに被害が集中している。これに対して、宮崎被災連載・その1で紹介した発電所は、敷地内の北東や北端付近に被害が集中し、同連載・その2で紹介した発電所は、ほぼすべてのアレイが損壊していた。

 敷地内で損傷が集中した位置は異なるものの、3カ所とも、南九州に独特の強い風を伴う台風が通過する時に、時計の逆回りで巻くように吹く強風によって損壊したとみられることでは、共通しているという。

 宮崎被災連載・その1とその2で紹介したサイトと同じように、北東側から南西側に向かって時計の逆回りに巻くように吹く風を、アレイが裏面からもろに受け止め、太陽光パネルを裏面から吹き上げるような形になり、架台からパネルが吹き飛んだとみられる。

 太陽光パネルは、南側に向けて吹き飛んでいる。この発電所の南隣には、国道269号線が走っている(図2)。交通量は多く、国道の向かい側にはホテルが建っている。

図2●南隣(画像の左)には国道が走っている
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図2●南隣(画像の左)には国道が走っている
(出所:日経BP)

 もし、太陽光パネルが国道やホテルまで吹き飛んでいたら、走行中の自動車に衝突したり、通行人を損傷する、さらに、ホテルやその利用者などの損壊・損傷に至った可能性がある。