大規模な太陽光発電所のO&Mでは、ストリング(パネルの直列回路)ごとの発電量監視が、不具合パネルの早期発見に有効――との声は多い。ただ、ストリング監視を導入したからといっても万全ではない。鹿児島県で稼働中のメガソーラー(大規模太陽光発電所)では、稼働後1年半足らずで、検査機器によって不良パネル26枚を発見した。ストリング監視を導入していたが、気付かなかった。

 鹿児島県湧水町にある「サンシャインエナジー湧水発電所」は、ゴルフ場跡地に立地し、連系出力約20MW、太陽光パネル容量約25.8MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)だ。特定目的会社(SPC)が事業主体となり、EPC(設計・調達・施工)サービスは積水ハウスが担い、電気設備と連系工事は九電工が担当した。

 太陽光パネルは中国の大手パネルメーカー製(72セル・300W/枚・8万6112枚)、パワーコンディショナー(PCS)は日立製作所製(630kW機・32台)、接続箱はドイツ・ワイドミュラー製(352台)。1ストリング・18直列の直流1000V仕様で、4784ストリングという構成になる。

 2015年3月に運転を開始した。竣工検査では、ドイツ系の技術評価会社の立会いの下、ストリングごとにIVカーブ(電流電圧特性曲線)を測定し、赤外線カメラを使って全パネルの表面温度を検査した。その結果、「異状ない」との結果だった。

 稼働後は、遠隔監視システムによって、ストリングごとに発電量をモニタリングすることで、パネルの発電不良を早期に発見する体制を整えていた(図1)。

図1●ゴルフ場跡地に建設した連系出力20MWのメガソーラー
図1●ゴルフ場跡地に建設した連系出力20MWのメガソーラー
(出所:日経BP)
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 だが、その後、ストリングの抵抗(インピーダンス)と開放電圧を測定できる検査装置などを活用し、2016年8月までに26枚の不良パネルを発見した。

 採用した検査装置は、アイテス(滋賀県野洲市)製の太陽光パネル点検装置「ソラメンテ」だ。同社は、日本IBM野洲工場の品質技術部門から、1993年に独立した企業で、半導体関連の検査技術から出発し、太陽光パネルの検査機器などにも取り組んでいる。