太陽光パネルには、製造時や輸送・設置時、また経年劣化によって、さまざまな不具合が生じる場合がある。こうした不具合や、それを検知するための手法について、ケミトックス(東京都大田区)が評価サービスを通じて得た事例や知見について紹介している。
今回は、高温・高湿の環境に長時間、晒された太陽光パネルの不具合の例を紹介する。紹介する事例の外観上の症状は大きく2つある。1つは樹脂製のバックシートが部分的に不自然に膨らむ場合、もう1つは、セル(発電素子)の外周付近がカバーガラスから剥離する「デラミネーション(層間剥離)」と呼ばれるものである(図)。
いずれも、樹脂製の部材が高温・高湿の環境下で劣化することで生じる。
「バックシートの膨らみ」(図左上)は、バックシートに関連する封止材の樹脂材料から、ガスが発生して風船のように大きく膨らむ。
「デラミネーション」(図左下)は、バックシートや封止材の材料である樹脂が劣化し、セルが外周付近を起点に剥がれてしまうことで、カバーガラスと封止材、あるいは封止材とセルの間に剥離が生じる。この剥離により、光の透過率が低下し、セルの出力低下を招く。