接続箱内が黒焦げに

 東日本大震災後の調査では、まず太陽光パネルの強度が、相対的に強かったと分析している。太陽光パネルを屋根上に乗せていることで、屋根や建物が損傷したり、屋根上から太陽光パネルが散乱した住宅は、目にすることがなかった。屋根上のパネルは、健在だった住宅が多かった。

 逆に、太陽光パネルが、屋根材を補強した形となり、本来よりも屋根の強度が上がり、損傷を免れているように見える場合もあった。屋根材や瓦などが破損しても、太陽光パネルを設置した部分は健在だったといった例である。

 もちろん、屋根と一体になって損壊したり、漂流や焼失したとみられる住宅もある。

 一方、安全性については、課題が多いと分析している。居住者が災害時の太陽光発電システムの対処法を知らないことが背景にあるという。もし、適切に処置していれば、防げた損傷もあった可能性とみている。

 例えば、2階建て住宅で、屋根上の太陽光パネルが健在だった一方、1階にあるPCSなどの損傷が深刻なケースがあった(図2)。

図2●いわき市の住宅の例
図2●いわき市の住宅の例
上から分電盤、PCS、接続箱。接続箱の上まで、津波が浸水した(出所:PV-Net)
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 福島県いわき市の住宅では、1階の中央あたりまで津波を被った。1階の壁には、上から順に分電盤、PCS、接続箱が設置してあり、一番下だった接続箱は浸水した。

 調査の際、接続箱の筐体の外部には大きな異常は見られなかったものの、筐体を開けてみると、接続箱内は黒焦げて炭化していた。

 太陽光パネルは健在で発電状態のまま浸水したために、ショートしたと推測している。一歩間違えば、住宅全体の火災につながる危険な状況だった。

 接続箱のスイッチを切ってさえいれば、こうした事態を防げたとみている。このように、回路の切断方法として、接続箱を適切に活用していない例が多かった。