太陽光パネルには、製造時や輸送・設置時、また経年劣化によって、さまざまな不具合が生じる場合がある。こうした不具合や、検知するための手法について、ケミトックス(東京都大田区)が評価サービスを通じて得た事例や知見について紹介している。

 今回は、太陽電池セル(発電素子)で生じる代表的な不具合の一つである、バスバー(セル上の太い金属配線)が断線した事例を紹介する。製造工程の中で、バスバーを形成するはんだによる配線の不良が原因で生じる。

 はんだ付けの不良や、はんだ材料そのものの不具合が原因となる。

 こうした太陽光パネルが設置され、発電をはじめると、設置環境中の温度が時間ごとに大きく変化することで、はんだの接触の不具合が進行していく。すると、セルとバスバーの間の接触抵抗が上がり、せっかく発電しても、この場所を通る電流の多くが熱となって損失してしまう。

 日中の間は電流が流れ続けるので、発熱を続ける。この状態が続くと炭化し、その後、発火につながる()。

温度変化の大きい自然環境中ではんだの断線が進行
温度変化の大きい自然環境中ではんだの断線が進行
バスバーの断線の概要(出所:ケミトックス)
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 裏面の樹脂製バックシートは焦げ、表面のカバーガラスは破損することもある。

 こうした不具合を引き起こすバスバーの断線は、早期に発見することもできる。断線に至る初期には、出力が独特の変化を示すためである。

 バスバーが断線しはじめる初期には、発電量が多い時には、より温度が高くなり、出力が大きく低下する。逆に、発電量が少ない時には、温度が下がり、出力は正常に近づく。

 例えば、ストリング(太陽光パネルを直列に接続した単位)単位で発電量を監視している場合、他のストリングとの出力変化の傾向の違いから、こうしたバスバーの断線初期に特有の出力変化を示しているパネルを含むストリングに気づくことができる可能性がある。

 こうした症状を示している太陽光パネルを特定するには、サーモグラフィによる画像の確認、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)検査、または、I-V(電流-電圧)特性の測定によって、はんだの製造不良による断線などを確認することができる。

次回は、3月3日に掲載)