雷でバイパスダイオードがショート

 そこで、アイテス(滋賀県野洲市)の開発した太陽光パネル点検装置「ソラメンテ」を使って、パネルの状態を調べた。

 「ソラメンテ」は、「ストリングチェッカー」と「パネルチェッカー」という2つの点検装置を使う。まず、「ストリングチェッカー」で、接続箱からストリングに微弱な検出用信号を流し、開放電圧と抵抗値(インピーダンス)を測定する。これにより、不良パネルのあるストリングを特定。次に「パネルチェッカー」を使って、ストリング内の故障パネルを特定する。具体的には、パネル表面のバスバー(線状の電極)にセンサー部をあてて、電流の磁界を感知し、電流の有無を判断する(図3図4)。

図3●「ストリングチェッカー」による測定の様子
図3●「ストリングチェッカー」による測定の様子
(出所:アイテス)
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図4●「パネルチェッカー」による測定の様子
図4●「パネルチェッカー」による測定の様子
(出所:アイテス)
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 まず、ストリングチェッカーで、このメガソーラーの該当ストリングを測定すると、開放電圧は300V程度に低下しているが、抵抗値は正常(低いまま)だった。同サイトのストリング構成はパネル22枚を直列接続し、開放電圧700~800Vとなるため、この電圧差により電流が逆流していると考えられた。

 抵抗値に異常がない(大きくない)ことから断線ではないことが分かった。一方で、開放電圧が大幅に下っていることから、一部のパネルのバイパスダイオードが通電し、複数セル(発電素子)で構成するクラスタごと不通になっていることが推察できた。

 この検査結果と目視で発見した「焦げ跡」から、直撃雷によって、一時的に大電流が流れてバイパスダイオードがショート(短絡)し、一部のクラスタに電流が流れない状態になっていると推測できた。

 パネルチェッカーで該当ストリングにつながる22枚のパネルを検査したところ、セル20枚のクラスタごと通電していないパネルが見つかった。こうした故障パネルは14枚にも及んだ。いずれも、バイパスダイオードのショートが原因と考えられた。