落雷の直撃により、33枚もの太陽光パネルが損傷したメガソーラー(大規模太陽光発電所)がある。空に向かってタワー(支柱)やブレード(羽根)の伸びる風力発電設備は、国内に導入以来、落雷被害に苦しんできた。一方、野立てのメガソーラーに直接、雷が落ちることはほとんどない、と思われてきた。だが、必ずしもそうではない。

 雷による電気機器への被害には、「直撃雷」と「誘導雷」がある。「直撃雷」は、その名の通り、建物や機器に、直接、雷が落ちる。「誘導雷」は、近くに雷が落ちた際、電磁界が発生し、その電気的エネルギーが空間を伝搬し、電気機器の定格を大きく超える電圧がかかり、損傷することなどを指す。

 一般的に雷は、背の低い構造物には、落ちにくい。とはいえ、地面にパネルを並べた太陽光発電所のような設備でも、敷地が広く周囲に避雷針などがないと、雷が落ちることもある。実際に直撃雷に打たれ、多数のパネルが損傷したケースを紹介する。

不具合ストリングに焦げた跡

 その太陽光発電所は、特別高圧送電線に連系する数10MWのメガソーラーで、緩やかな丘陵に位置する。落雷の被害に気付いたきっかけは、ストリング監視モニターによるアラーム(警報)だった。ストリング(太陽光パネルの直列回路)の電流が「ゼロ」になったことを知らせるものだった。

 当初、単なるヒューズ切れだと判断し、接続箱を開けてヒューズを交換し、ストリングをオンにし、クランプ電流計で電気が流れていることを確認した。その上で、ストリング監視モニターを確認すると、依然として電流は「ゼロ」のままだった。

 再度、現地で該当のストリングの電流をクランプ電流計で確認すると、「マイナス電流」だったことから、電流が逆流していると考えられた。異変を感じた保守担当者が、周辺を目視点検すると、アレイ最上部に設置した太陽光パネルのフレームに1cmの程度黒い焦げ跡があり、その近くのパネルの接地線(アース線)が外れていた(図1図2

図1●雷の打撃痕とみられる焦げ跡
図1●雷の打撃痕とみられる焦げ跡
(出所:アイテス)
[画像のクリックで拡大表示]
図2●接地線が外れていた
図2●接地線が外れていた
(出所:アイテス)
[画像のクリックで拡大表示]