出力2MW未満の太陽光発電所では、電気保安管理業務の外部委託が認められている。このため、各地の電気保安協会では、従来の受電設備に加えて、出力2MW未満の太陽光発電所から発電設備・連系設備の保安業務を受託することが増え、太陽光発電所のトラブルの傾向やその対策などの知見が蓄積されつつある。今回のシリーズでは、北海道電気保安協会が経験したトラブルや、その対策などを紹介する。

 前回に続き、太陽光発電所に導入したパワーコンディショナー(PCS)が、周辺地域に悪影響を及ぼした例を紹介する。

 太陽光発電所の稼働後、北海道電力から発電事業者に対して、PCSが発している高調波電流が、周辺地域の機器に電気的な障害を与えているため、対策を講じるように指摘された。

 高調波電流は、PCS内で太陽光発電電力を直流から交流に変換する時に発生する。その影響として、連系先の送配電線に悪影響を及ぼしたり、同じ送配電線に連系している周辺地域の電気機器に対して、電気的な障害を与えたりする場合がある。

 例えば、周辺地域の電気機器が、突然、異音を発するようになる。さらに状況が悪化すると、発煙につながる恐れもある。

 こうした障害の原因となった太陽光発電所は、すぐに電力会社から連系を解除される。

 北海道電気保安協会が電気保安管理業務を受託している太陽光発電所でも、釧路地域など、複数の発電所でこうした事例が生じている。

 こうした場合、高調波電流の発生に対して、適切な処置を施した上、その効果の有効性が認められるまで、再び連系することは認められない。