灰を除いても発電量は2割減

 設計・施工を頼んだ電研テクノル(熊本県合志市)に依頼し、1カ月かけて水による高圧洗浄でパネル上の灰と石を除きながら、破損状況を調査した。すべてのパネル上の灰を除いたところ、発電量の目減りは2割程度になったという(図7)。最終的に、8280枚のパネルのうち、約2割に当たる1636枚に割れが見つかった。

図7●灰を洗い流しても発電量は約2割目減りしている
図7●灰を洗い流しても発電量は約2割目減りしている
(出所:三協畜産)
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 電研テクノルによると、「カバーガラスが割れると周囲に広がるので、かすかな割れで交換するかどうかを迷うようなケースはなかった」という。割れがひどいものは、パネル全体に細かいヒビが広がり、白っぽく濁って見える状態になっていた(図8)。発電量が約2割落ちたのは、ガラスの割れで光が乱反射してしまうことなどが原因と考えられた。

図8●破損の激しいパネルは一面が白っぽく見える
図8●破損の激しいパネルは一面が白っぽく見える
(出所:日経BP)
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 太陽光発電所は、大きく3つエリアで構成される。藤棚式架台の北サイトと南サイト、そして、牛舎などの屋根上だ。破損したパネルは北サイト(3384枚)で796枚、南サイト(3528枚)で644枚、牛舎などの屋根上(1368枚)で196枚だった。牛舎の屋根上に設置したパネルの破損率がやや低いものの、サイト全体が被害を受けた。

 電研テクノルからは、「一応、発電しているが、ガラスのひび割れからパネル内に水が浸入し、ショートする危険性もある」との警鐘を受けた。また、パネル4枚によるストリング(直列回路)構成のため、1枚の発電量低下は残り3枚の発電能力にも影響することなどの指摘も受けた。三協畜産では、破損パネルを撤去のうえ、残った8割のパネルを配線し直して発電容量を減らすか、新品パネルに交換するかなど、複数の対応策を検討した結果、20年間の事業性を考慮して、破損パネルの全交換を決断した。