「トタンをはがしたような轟音で目が覚めた」

 被害に遭ったメガソーラーは、中岳火口から直線で北東に約6.5kmの距離にある。建設・運営しているのは、三協畜産(熊本市)。三協グループは、畜産から食肉販売、飲食店などを展開している。メガソーラーは、牛の肥育施設の屋根上と隣接する牧草地に太陽光パネルを設置した。

 同社は、農地を部分的に一時転用する制度を使い、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を試みている。約3mの高さの藤棚式の架台にパナソニック製太陽光パネル(「HIT」、290W/枚)を6912枚設置して2015年12月に稼働した(図3)。パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。その後、隣接する牛の肥育小屋とキュービクル、パワーコンディショナー(PCS)の筐体上に合計1368枚(「HIT」、293W/枚)を増設し、「過積載」(連系出力を超えるパネルを設置すること)にした。

図3●牧草と太陽光とのソーラーシェアリングに取り組む
図3●牧草と太陽光とのソーラーシェアリングに取り組む
(出所:日経BP)
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 最終的に全体でパネル8280枚、約2.4MWのパネル容量になり、連系出力1.99MWで、高圧送電線に連系している。

 10月8日未明、この太陽光発電所が降灰と降石に襲われた。三協畜産の甲斐誠一社長は、自宅でこの時の噴火に気付いた。「まるで屋根からトタンを引きはがしたような、バリバリバリという、ものすごい音が断続的に響き、目が覚めた」と振り返る。

 噴火の後、メガソーラーに行くと、牛舎の周りに屋根にぶつかって地面に落ちた1~2cmの噴石が散乱していた。太陽光発電の架台に設置していた接続箱の上などにも、火山灰とともに小さな噴石が載っていた(図4)。

図4●接続箱を覆う火山灰と噴石。噴火後の小雨で湿った状態に
図4●接続箱を覆う火山灰と噴石。噴火後の小雨で湿った状態に
(出所:三協畜産)
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