しかし、太陽光パネルメーカーは、交換に応じなかった。

 パネルメーカーは、施工時に不適切に扱った可能性を指摘したという。このように製造時の不具合によるものと思われるパネルの不良でも、メーカーが「施工時の不良」と主張し、交換に応じない例は、国内の太陽光発電所でも多いようだ。

 今回の場合、太陽光パネルメーカーは「施工時に、両手でパネルを頭上に持ち上げて、中心付近を頭に被ったヘルメットで支えながら運んだことなどによって生じた、施工による不良ではないか」と主張し、交換に応じなかった。

 原因の分析などに関わった太陽光発電アフターメンテナンス協会によると、太陽光発電所の施工には、電気に不慣れな企業が関わることが多いことが、太陽光パネルメーカーによるこうした主張につながっているという。

 指摘のあった「ヘルメット越しに頭上で支えて運ぶ」ほかにも、屋根上などの設置時に「太陽光パネルの上を歩く」といったことも、太陽光パネルメーカーが交換に応じない理由として挙げる代表例となっている。

 このほか、ロボットを使ったパネルの洗浄やコーティングなども、パネルメーカーが交換に応じない理由とすることがあり、メーカーとの事前の打ち合わせが重要となる。

 太陽光発電アフターメンテナンス協会では、今回の場合、パネルメーカーのこうした反論があっても、パネルをメーカーに送ってメーカー自身による分析を待てば、メーカー負担による交換に応じた可能性もあったと予想している。

 しかし、「いち早く復旧し、売電ロスを最小化したい」という発電事業者の意向があったため、メーカーにパネルを送ってまで交渉を続けることをせず、保険を使ってパネルを購入し、復旧した。