では、どのようにして割れたのだろうか。

 O&M事業者から相談を受けた太陽光発電アフターメンテナンス協会では、パネルの状態を見て、セル(発電素子)に起因する、ガラス裏面側の熱膨張と、その後の収縮によるカバーガラス内の応力変化によるものではないかと推測した(図1)。

図1●セルのバスバーを形成するハンダ上が焦げている
図1●セルのバスバーを形成するハンダ上が焦げている
ガラスは内側(セル側)から割れていた(出所:日経BP)
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 このように推測した理由は、セル上の太い電極(バスバー)を形成しているハンダが、焦げていたことによる。発電を開始して以降、一定の期間を経てから生じたものと思われる。

 パネルの裏面のバックシートも、ちょうどハンダが焦げている部分の裏面を中心に焦げている(図2)。

図2●裏面のバックシートも焦げている
図2●裏面のバックシートも焦げている
ハンダやセルの不良によるものと推測できる(出所:日経BP)
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 原因として、大きく二つの要因が考えられるようだ。一つは、はんだ付けの不良や、はんだ材料そのものの不具合である。もう一つは、セルに生じた微細な割れ(マイクロクラック)が成長し、部分的な断線に発展したことで生じた不具合である(関連コラム1)。

 例えば、はんだ付けの不良や、はんだ材料そのものの不具合が原因の場合、太陽光パネルが設置されて発電をはじめると、設置環境中の温度が時間ごとに大きく変化することで、はんだの接触の不具合が進行していく。

 すると、セルとバスバーの間の接触抵抗が上がり、発電によってこの場所を通る電流の多くが熱となって損失してしまう。日中の間は電流が流れ続けるので、発熱が続く。この状態が続くと炭化し、その後、発火につながることがある(関連コラム2)。

 こうした製造時の不良が原因と考えられ、しかも、カバーガラスがセル側から割れていることから、ほぼその不良に起因すると思われる。このため、発電事業者側は製造元の中国の太陽光パネルメーカーに対して、交換を要求した。