設置角20度にして設置枚数を増やす

 MSMが目指すメガソーラー運営の特徴は、「人手をかけるO&M」だ。一般的に太陽光発電所の運営では、「O&Mをいかに省力化するか」がテーマになる。しかし、MSMでは、逆に、保守作業に「手間をかけること」を前提に太陽光パネルの配置などを設計し、発電量を増やして収益を最大化することを目指している。

 その考え方がよく表れているのが、架台の設計だ。太陽光パネルを縦置き2段、設置角20度、パネル最低部と地面との設置高は50cm程度にした。こうした架台とアレイ(パネルの設置単位)の設計にしたのは、パネル上に積もった雪を手作業で滑り落とすためだ。

 三沢市は、東北地方の中では相対的に雪が少ない地域だが、それでも年間で数十cmの積雪があり、夜に降った雪がパネル上に積もることも多い。一般的に積雪地域では、設置角を30度以上に傾け、雪を滑り落ちやすくする。だが、設置角30度にすると架台の影が長くなるため、架台と架台の間隔を広くする必要があり、設置枚数が減ってしまう。

 そこで、「人がパネルの雪下ろしをすることを前提に、設置角を20度に留め、設置枚数を増やした」と、MSM監事の小坂仁志・小坂工務店社長は言う。MSM-1号機の場合、設置角30度では約1.7MW分のパネルしか設置できないのに対し、20度にすると約2MW分設置できるという。アレイ構成を2段組みにし、設置高を低くすることで。雪下ろし作業に配慮している(図5)。

図5●設置角を20度にして設置枚数を増やした
図5●設置角を20度にして設置枚数を増やした
(出所:日経BP)
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 設置高を低くすると、雑草の影がパネルの上にかかりやすくなる課題があるが、この点も、頻繁に除草作業をすることで、カバーできる。