廃パネルのリユース・リサイクルを一貫処理

 MSMでは、太陽光発電のO&M事業のほか、メガソーラー事業を核にした、地方企業ならではの事業展開を模索している。太陽光パネルのリユース(再使用)・リサイクル(再利用)と、太陽光発電を活用した水素システムの展開だ。

 2016年6月、MSMは東芝環境ソリューション(横浜市)と、太陽光パネルのリユース・リサイクル設備を共同開発することで基本合意した。

 東芝環境ソリューションは、使用済みの太陽光パネルの性能を評価して、リユース可能な製品を選別し、リユースできないものは、板ガラスをセル(発電素子)やバックシートなどから分離する一貫処理プロセスの構築にめどを付けている。熱や薬品を使わず回転ブラシで、はぎ取るのが特徴だ(図8)(図9)

図8●東芝環境ソリューションの廃パネル・リサイクルの流れ
図8●東芝環境ソリューションの廃パネル・リサイクルの流れ
(出所:環境省「太陽光発電設備等のリユース・リサイクル・適正処分 に関する報告書」)
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図9●分離・回収した太陽光パネルのカバーガラス
図9●分離・回収した太陽光パネルのカバーガラス
(出所:環境省「太陽光発電設備等のリユース・リサイクル・適正処分 に関する報告書」)
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 MSM会員企業の関連会社には、廃棄物処理会社のループ(三沢市)があり、太陽光パネルのリサイクルに取り組んできた。MSMは、ループの事業所に東芝環境ソリューションの協力を得て、パネルを適正処理する一貫ラインを建設した。年間2万tの処理能力がある。

 県内で排出された使用済みパネルの処理を有料で引き受け、発電性能などを検証し、リユース可能なものは中古パネルとして販売する。一方、廃棄パネルは、ガラスとそれ以外に分離する。廃ガラスは、ループが破砕し、ガラス発泡資材として製品化する。ガラス発泡資材は、軽量土嚢などに活用するという。

 「地域のメガソーラーは、地域の企業がO’&Mを担ってエネルギーの地産地消を実現し、今後、排出される使用済みパネルは、地域で適正処理し、資源を有効活用する。こうした地域主体の事業モデルを構築したい」と、小坂監事は言う。