イノシシの侵入に悪戦苦闘

 風力増設を待つ「いいたてまでいな太陽光発電所」は、運転開始から1年半を経過し、3サイトとも順調に推移している。

 土地なりにパネルを設置する場合、東西方向にも傾斜を付けてしまう場合も多いが、同発電所では、レベルを合わせているため、7列4段・28枚の基本アレイ(パネル設置単位)が、整然と敷き詰められている印象を受ける。

 稼働後、冬を1回越し、何回か雪も降った。積雪に備えて、パネル最低部と地面との設置高は、1m程度を確保したが、場所によっては、パネルから滑り落ちた雪が、アレイ最低部まで届いたため、そうした個所については除雪したという。

 また、山間のサイトだけに野生動物の侵入も多い。目立つのはイノシシで、フェンスの下を掘って、かなり頻繁に敷地内に入ってくるという。いまのところ、発電事業に直接的な影響はないものの、目視点検などのために所内を見回っている際、イノシシの掘った穴や糞に足を取られるなど、日常の運営上、厄介な存在という。

 最大面積となる西サイトは緩やかな斜面で、展望台に上ると、阿武隈高原の山並みをバックにパネルを敷き詰めたサイト全体を一望できる。山間のメガソーラーでここまで見渡せるサイトは珍しい。加えて、2018年12月には、大型風車のブレード(羽根)がパネルの背後で、悠然と回転する情景が見られる予定だ。

 再生可能エネルギーを復興の柱の1つに据える飯舘村の中でも、象徴的な発電施設として、見学者の人気を集めそうだ(関連記事)。

施設の概要
発電所名いいたてまでいな太陽光発電所(再エネ・クロス発電)
住所福島県相馬郡飯舘村飯樋字花塚山1番2 他
発電事業者いいたてまでいな再エネ発電株式会社(東光電気工事が5000万円、飯舘村が4000万円を出資)
設置面積約14ha
連系出力10MW
太陽光パネル設置容量11.805MW
風力発電設備容量6.4MW(2018年12月運転開始予定)
融資元東邦銀行を主幹事とした七十七銀行、大東銀行、福島銀行の4行によるシンジケートローン(融資額40億7000万円)(太陽光分)
EPC(設計・調達・施工)サービス東光電気工事
O&M(運営・保守)東光電気工事
太陽光パネル三菱電機製の単結晶シリコン型(265W/枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(500kW機20台)
連系変電設備TMEIC製(1万kVA変圧器・22kVから66kVに昇圧)
太陽光架台愛知金属工業製(高耐食めっき鋼板)
風力発電設備ゼネラルエレクトリック(GE)製(3.2MW機・2台)
着工日太陽光・2014年10月15、風力2018年度~
発電開始日太陽光・2016年3月25日、風力・2018年12月予定