土地の性質への対応にこだわり

 発電設備は、京セラ製の太陽光パネル、藤崎電機製の接続箱、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のパワーコンディショナー(PCS)を採用した(図4)。

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図4●太陽光パネルは京セラ製、接続箱は藤崎電機製を採用
図4●太陽光パネルは京セラ製、接続箱は藤崎電機製を採用
約5年間の稼働中、大きな不具合は発生していないという(出所:日経BP)
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 太陽光パネルの出力は242W/枚で、PCSは昇圧変圧器を一体化した機種を導入した。

 架台はオーストラリアのクリーンエナジー製を採用した(図5)。架台の支柱が杭基礎の役割も担う。この1本杭の基礎と架台の組み合わせは、この後のガイアパワーの太陽光発電所の基本となっていく。

図5●オーストラリアのクリーンエナジー製の1本杭による基礎・架台
図5●オーストラリアのクリーンエナジー製の1本杭による基礎・架台
この後のガイアパワーの太陽光発電所の基本となった(出所:日経BP)
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 ガイアパワーでは、土地の造成や基礎については、特にこだわりがあると強調する。どの発電所でも、土砂流れや鉄砲水のような雨水の急流を発生させるような開発は、できるだけ避けている。そこには、同社の藤崎耕治社長が大林組の土木の技術者として積んできた経験も生きているという。

 杭基礎の適性や土地に合わせた工法などは、案件ごとに調査や開発を続けている。

 例えば、鹿児島県で開発する発電所の場合、「シラス台地」(鹿児島・宮崎の火山噴出物を多く含む台地)と呼ばれる特徴的な地盤があり、地表を崩してしまうと地山が傷みやすくなる。

 こうした場合、土を大きく動かすような本格的な造成を最小限に留めたり、木を伐採しても根を残したりすることもある。

 木を切っても、根は残しておくことで、雨が降っても従来のように土地が水を吸収し、鉄砲水のように一気に周囲に流れ出したり、土砂が流れたりすることを抑制する。このように、土地をできるだけ傷めずに開発するといった工夫を講じてきたとする。

 さらに、アスファルト系ながら二酸化炭素の排出量を抑制できる工法で、シラス台地上の敷地内を舗装した発電所もある。

 それぞれの発電所が立地する土地の性質を知ることが重要という。自社による現地調査に加え、現地の地盤を熟知する地元企業の協力を得ることなどによって、その土地に最適で、土地をできるだけ傷めない開発手法に取り組んでいるという。