接続箱でストリングの抵抗値を測定

 また、竣工検査で採用した新手法は、アイテス(滋賀県野洲市)の開発した太陽光パネル点検装置「ソラメンテ」だ。同社は、日本IBM野洲工場の品質技術部門から、1993年に独立した企業で、半導体の検査技術から出発し、太陽光パネルにも取り組んでいる。

 「ソラメンテ」は、「ストリングチェッカー」と「パネルチェッカー」という2つの点検装置を使う。まず、「ストリングチェッカー」で、接続箱からストリングに微弱な検出用信号を流し、開放電圧と抵抗値を測定する(図8)。これにより、不良パネルのあるストリングを特定できる。

図8●「ストリングチェッカー」で開放電圧と抵抗値を測定
図8●「ストリングチェッカー」で開放電圧と抵抗値を測定
(出所:アイテス)
[画像のクリックで拡大表示]

 次に「パネルチェッカー」を使って、ストリング内の故障パネルを特定する。パネル表面のバスバー(線状の電極)にセンサー部をあてることで、電流の磁界を感知し、電流の有無を判断できる(図9)。

図9●「パネルチェッカー」でバスバーの電流を測定
図9●「パネルチェッカー」でバスバーの電流を測定
(出所:アイテス)
[画像のクリックで拡大表示]

 例えば、ストリングチェッカーのよるストリング測定で、開放電圧が低く、抵抗値が非常に大きい結果となった場合、「クラスター断線」のパネルが含まれる可能性が大きい。クラスター断線とは、はんだ不良などで、電極の抵抗が増してバイパスダイオードが作動し、太陽電池セル(発電素子)の3分の1を迂回して電流が流れている状態を指す。パネルチェッカーでバスバーの電流を確認することで、クラスター断線したパネルを特定できる。