平戸島(ひらどじま)は、長崎県北部の松浦半島の西の海に浮かぶ。東シナ海に面し、北東から南西に伸びる細長い島で、北端から南端までの距離が約45km、クルマでも約1時間と、比較的、大きな島である。

 その立地と島の規模から、歴史上、重要な役割を担ってきた。飛鳥時代から奈良、平安時代の遣隋使や遣唐使の寄港地など、大陸との交通拠点となったほか、鎌倉時代の元寇、戦国時代の南蛮貿易などの舞台となった。

 この島の北部に、出力約960kWの太陽光発電所「SOL de 平戸 下中野」がある(図1)。

図1●出力約1MWの「SOL de 平戸 下中野」
図1●出力約1MWの「SOL de 平戸 下中野」
長崎県では初のメガクラスの太陽光発電所で、2012年11月に稼働(出所:チョープロ)
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 発電事業者は、液化石油(LP)ガスなどを手掛けるチョープロ(長崎県西彼杵郡長与町)となる。

 同社は、長崎県内を中心とする近隣地域において、多くの太陽光発電所を開発・運営している。地域に根ざした太陽光発電事業者の1社と言える。

 これまでに、高圧配電線や特別高圧送電線に連系する15カ所が稼働済みで、さらに年内に2カ所が発電を開始する予定となっている(関連コラム:長崎空港隣の約30MW雲仙・普賢岳の噴火後の瓦礫置き場の約1MW長崎市総合運動公園隣の約2MWなど)。

 小規模の土地には、低圧配電線に連系する事業用低圧発電所を合計出力約1.3MW分、開発してきた。これらを合計すると約50MWの規模になる。

 「SOL de 平戸 下中野」は、同社にとって最初の開発案件である。長崎県においても、初のメガクラスの太陽光発電所となった。

 チョープロによると、EPC(設計・調達・施工)サービスを担当した九電工にとっても、初めてのメガクラスの案件だったという。

 初めての案件とあって、チョープロでは、土地を確保したものの、大規模な太陽光発電所を開発するための知見に乏しかった。そこで技術面は、ソーラーフロンティアの支援を得た。

 EPCサービスを九電工に委託する前に、すでにソーラーフロンティアが発電所の基本設計や仕様を立案していた。この案を、九電工が引き継いで施工した。太陽光パネルはソーラーフロンティア製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 その後、チョープロの太陽光発電所は、この3社による連携を基本に開発していくことになる。架台も基本的に、リヒテンシュタインのヒルティ製を採用し、設置角を10度にすることも共通する。「SOL de 平戸 下中野」が、その後の発電所設計の基本となった。

 土地は、工業用地として整備されながら、活用されていなかった場所を借りている。長崎県が貸出候補先として公開していた場所の一つだった。