折板屋根を「二重」から「一重」に変更

 富士通は、環境会計やゼロエミッションの推進など、先進的に環境経営に取り組んできた。なかでもPFUは環境マネジメントシステム・ISO14001の認証を1996年10月に日本企業の先陣を切って取得するなど、環境に配慮した経営で知られる。

 実は、ProDeSセンターの屋根上太陽光も、こうした環境への取り組みのなかで設置が決まった。といっても第一の動機は、再生可能エネルギーの推進ではなく、同センターの省エネ対策が主目的だった。太陽光パネルの遮熱効果により、夏場の空調負荷が減ることによる省エネ効果を期待している。

 「環境配慮はあくまで本業をサポートするもの。FITを使って、再エネの売電事業で収益を上げるという発想はまったくなかった」と、PFU環境推進室の大田均室長は言う。

 ProDeSセンターは、A棟とB棟からなり、B棟はA棟の半分程度の床面積になる。A棟1階とB棟は工場で、A棟2階には設計・開発部門がある。両棟は、ほぼ同時期に建設されたが、B棟が「二重折板工法」を採用したのに対し、A棟は一般的な一重の折板屋根だ(図3)。

図3●B棟の屋根は、断熱性の高い「二重折板」を採用
図3●B棟の屋根は、断熱性の高い「二重折板」を採用
(出所:日経BP)
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 「二重折板工法」とは下折半と上折半で断熱材を挟んだ構造で、断熱性が高い一方、屋根重量の増加が課題になる。当初、両棟とも二重折板で設計していたものの、B棟の完成後、二重折板屋根の建物が倒壊した事故例が報告された。これを受けて、規模の大きなA棟は、慎重を期して、一重の折板屋根に変更した経緯があった。

 このため、「夏場になるとA棟2階は、温度が上がり、空調負荷が大きくなるうえ、雨音がうるさいというクレームも多かった」と、PFU環境推進センター・環境推進プロジェクトの山本真一プロジェクトマネージャは振り返る。