初めての水上型で「国内製」にこだわる

 パネルから接続箱、PCSまでの直流の回路は、1000V対応の設備を導入した。送電時の損失を少なくするとともに、接続箱の台数や電線の総延長を減らすことで、施工費やメンテナンスの手間を削減できる利点もある。

 太陽光パネルは22枚を直列に接続し、接続箱に入力する。この直流の回路構成に合わせて、フロートの構成を最適化している。施工時も、池の護岸に築いた作業場において、22枚の半分となる11枚分ずつを横一列で組み立て、直流回路の構成に適した工程でフロートを組み、水面に浮かべていった。

 PCSは、池の堤防と近隣の道路に挟まれた場所に配置した(図7)。高圧配電線の電柱が近くにあり、連系しやすい場所に置いた。

図7●PCSは堤防と道路の間に配置
図7●PCSは堤防と道路の間に配置
連系先の送電線の電柱が目の前にある(出所:日経BP)
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 それほど広くない場所だが、PCSと昇圧変圧器(キュービクル)が一体となった機種を選んだために、個別に設置する場合に比べて設置場所やコンクリート基礎の面積が少なくて済んだ。

 太陽光パネルは三菱電機製、PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 採用の理由について、三井住友建設では、性能とコストのバランスなどの経済性のほか、自社初の水上メガソーラーとなることから、なんらかのトラブルが生じた際のことを考え、国内で適切なサポートを受けられるメーカーの製品であることを重視したとしている。

 接続箱からPCSに入力する電線は、フロート上や水上を通った後、堤防からはコンクリートで覆った(図8)。住民などが通行でき、草刈りや野焼きが定期的に実施されている場所のため、電線を適切に保護し、安全性を高めたという。

図8●堤防以降の地上ではコンクリートで電線を覆う
図8●堤防以降の地上ではコンクリートで電線を覆う
近隣住民の通行や草刈り、野焼きなどに対応(出所:日経BP)
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●発電所の概要
発電所名平木尾池水上太陽光発電所
所在地香川県木田郡三木町「平木尾池」
太陽光パネルが浮かぶ水面の面積約2万9000m2
太陽光パネル出力約2.6MW
パワーコンディショナー(PCS)出力 1.99MW
発電事業者三井住友建設
EPC(設計・調達・施工)サービスSMCテック(千葉県流山市:三井住友建設の100%子会社)
太陽光パネル三菱電機製(9504枚)
PCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(直流1000V対応機)
フロート三井住友建設製(1万795個)
O&M(運用・保守)三菱電機システムサービス(東京都世田谷区)
売電価格(税抜き)32円/kWh
売電開始予定2017年11月
売電先四国電力