ハスの群生、発電設備の導入に影響するのか

 平木尾池では、ハスが多く生えている(図3)。香川県のため池では、よく見られる光景という。

図3●ハスが多く生えている
図3●ハスが多く生えている
香川県のため池では多く見られる光景。後ろに見えるのは白山(しらやま)(出所:日経BP)
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 今回の太陽光発電設備の設置において、ハスの繁茂により、大きな制約はなかったとしている。許可を得て、一部、ハスの上部を切った程度という。

 ハスが最も群生している場所のひとつは西側で、この部分には元々、太陽光パネルを浮かべない設計にしていた。住宅が近いため、パネルによる反射を考慮した結果である(図4)。

図4●住宅地の近くにはパネルを配置せず
図4●住宅地の近くにはパネルを配置せず
反射光や景観に配慮した(出所:日経BP)
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 太陽光パネルは、主に池の中央から北東側を中心に浮かべている。この周辺で一部、ハスの上部を切った。

 ハスを切る作業は、冬に実施することが理想的という。ただし、平木尾池のメガソーラーは、2017年5月に着工したため、冬に切れなかった。そこで、着工後に最小限を船上から切った。

 ハスの群生するため池にメガソーラーを設置する場合、発電設備の設置に制約が生じる場合もある。例えば、希少種のハスが生育している場合などである。香川県のため池では、「オニバス」という希少種が生育していることがある。

 一方で、逆に水利組合から、発電事業者に対して、ハスを切ってほしいと要望されることもあるという。

 平木尾池のメガソーラーでは、ハスと太陽光パネルが同居するような格好で、水面に浮かんでいる(図5)。夏には、一斉に花が咲く。池の水面では、桃色の花の向こうに、青いパネルが浮かぶ、独特の情景が見られそうだ。

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図5●ハスと太陽光パネルが同居
図5●ハスと太陽光パネルが同居
春から夏にかけては桃色の花が咲く。上は2017年10月、下は同6月に撮影(出所:日経BP)
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 水鳥や渡り鳥も、多く飛来する。中でも、秋から春にかけては、カモ類などの多くの野鳥で賑わい、オオハクチョウが訪れたこともあるという(図6)。

 
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図6●多くの野鳥が飛来する
図6●多くの野鳥が飛来する
取材時にも飛来し、パネル上で羽を休めていた(下)(出所:日経BP)
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