自社発電所で「稼働・停止」訓練

 「相馬野馬追の里 ほあんソーラー」は、2015年7月に完成した。固定価格買取制度(FIT)を活用して売電しているが、同保安協会に所属する技術者向けの太陽光発電設備に関する研修施設として活用することが主目的だ(図3)。

図3●完成時の「ほあんソーラー」。写真左下が緑地帯(植樹前)
図3●完成時の「ほあんソーラー」。写真左下が緑地帯(植樹前)
(出所:東北電気保安協会)
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 各地の電気保安協会には、多くの電気主任技術者が所属し、メガソーラーの保安業務を担っている。なかでも東北地方では、高圧配電線に連系する規模の大きな太陽光発電所が多く、東北電気保安協会への保安業務の依頼が急増している。2017年8月末現在、同協会が受託した太陽光発電所(売電専用)は、684件に達している。

 東北電気保安協会では、約1000人がメガソーラーを始めとした電気設備の保安業務に従事する。太陽光発電設備には、太陽光パネルやパワーコンディショナー(PCS)など、電気保安協会の技術者にとって馴染みの薄かった電気設備も多い。そこで、研修用の太陽光発電所を建設することにした。自社で所有することで、発電量の減少につながるような「稼働・停止」などの実地訓練も、研修項目に加えられる。

 完成後は、月に1~2回、1回当たり約20人の技術者が2泊3日のカリキュラムで受講している。太陽光発電設備の専門家が講師を務める。年間に延べ260~290人が参加し、4年間で保安業務に従事する約1000人全員が受講することになる。研修は順調に進んでおり、すでに対象者の半数以上が参加している。