パネルを2軸で自動制御する追尾型

 袖ケ浦市のメガソーラーには2017年1月、出力12kWの太陽光発電所を追加した(図5)。追加分には、2軸式の追尾型システムを2基、採用した。こちらの売電価格は、32円/kWh(税抜き)となっている。

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図5●多方位十字軸自動追尾システム
図5●多方位十字軸自動追尾システム
台湾Topper Sun Energy Technology社製(出所:日経BP)
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 今後の太陽光発電所の開発を見据え、試験的に設置した。FITの売電単価が低下しても、一定の事業性を確保できる手法の確立が目的という。

 追尾型システムによって、従来の固定型に比べて、年間で35%程度の売電量を増加できるのではないかと期待している。その効果を実証している。

 稼働を開始した2017年1月から7月の約6カ月間では、従来の固定型に比べて発電量が約40%増で推移したという。

 追尾型システムは、台湾Topper Sun Energy Technology社製を(図6)、太陽光パネルはレネソーラ製を採用した。

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図6●2本のワイヤーでX軸、Y軸を制御
図6●2本のワイヤーでX軸、Y軸を制御
太陽の動きに合わせ、パネルの角度を自動で調整(出所:日経BP)
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 導入した2軸の追尾型システムは、「多方位十字軸自動追尾システム」と呼ばれる。太陽の動きに合わせ、パネルの角度を自動で調整する。日光の入射角が、太陽光パネルの表面に対して、常に垂直になるように制御している。これによって太陽光をより高い効率で活用でき、発電量が増える。

 2本のワイヤーが引っ張り合うことで、X軸、Y軸を制御し、パネルの向きが変わる。

 この追尾型システムは、稼働を目前に控えた北海道登別市の出力約1.99MWの発電所でも導入した(図7)。登別市のメガソーラーは、従来の固定型と追尾型が同居する発電所となっている特徴的なプロジェクトとなっている。

図7●固定型と追尾型が同居する
図7●固定型と追尾型が同居する
北海道登別市の出力約1.99MW(出所:多摩川ホールディングス)
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 登別市の案件では、追尾型システムのコスト削減にも取り組んだ。例えば、基礎をコンクリートから鋼材に変えた。

 また、館山市のメガソーラーは、出力19.5kWの小型風力発電設備を追加し、2016年3月に稼働した。売電単価は55円/kWh(税抜き)となっている。

 これも袖ケ浦市の追尾型システムと同じような位置付けで、将来を睨み、小型風力発電所の可能性を検証するために導入したという。

 このほか、鹿児島県指宿市では、地熱バイナリー発電のための掘削工事も開始している。

●発電所の概要
発電所名千葉県袖ヶ浦市発電所
所在地千葉県袖ヶ浦市林字陳陽台
敷地面積約1万5000m2
出力約1.3MW
発電事業者GPエナジー5(東京都港区:多摩川ホールディングスが設立した特定目的会社)
EPC(設計・調達・施工)サービス山加電業
太陽光パネル台湾AU Optronics社製
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
売電価格(税抜き)36円/kWh
売電開始2015年3月

発電所名千葉県袖ヶ浦市発電所(追尾型)
所在地袖ヶ浦市林字陳陽台
出力約12kW
発電事業者GPエナジー5
EPCサービス山加電業
追尾型システム台湾Topper Sun Energy Technology社製        
太陽光パネル中国レネソーラ製
PCS田淵電機製
売電価格(税抜き)   32円/kWh
売電開始2017年1月