日本3大悪風に耐える設計

 発電所に近づくと、そびえ立つように並んでいる高脚型架台に設置したアレイが、まず目に入る。隣接する倉庫の2階にまで達する、その高さに圧倒される。W型トラス構造は、山側エリアと同様だが、柱を太く高くした。駐車場用の架台を想定している。

 「実際にこうしたスケールの架台設計の注文はありませんが、アルミ製架台でここまでできる、というのを示したかった」。茂山組・太陽光システム事業部の福田誠課長は、高脚型架台を設置した狙いについて語る。

 1つの基礎にW型トラス構造の支柱4本を固定した。この基礎1つ当たりに、7段6列で42枚程度のパネルの重さがかかることになる。加えて、強風による引っ張り荷重も相当な力になる。津山盆地には、広戸風(ひろとかぜ)と呼ばれる強風が局地的に吹く。これは日本三大悪風の一つに数えられるほどの暴風。こうした風にも耐えなくてはならない。

 そこで、トラス構造には11cm角のアルミ柱材を使い、パネルを固定するアルミパイプは三角形の断面に押し出し成形したもので、軽量でも変形に強い。基礎は、地中に型枠を組み、配筋してコンクリートを打設。この基礎に柱脚をアンカーボルトで固定した。

 加えて、アレイの受ける風を少しでも逃がすよう、高脚型でない架台も含め、パネルとパネルの間を2.5cmほど空けた(図10)。

図10●風を逃がすため、パネルとパネルの間を2.5cm空けた(出所:日経BP)
図10●風を逃がすため、パネルとパネルの間を2.5cm空けた(出所:日経BP)
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