伏流水と浸透池の効果

 立地する土地には、地表から浅い深さに地下水が流れている。これは「伏流水」と呼ばれ、近隣を流れている川の水が、川床の下に浸透したものである。特定の地質によって、川の近くに形成される。一般的な地下水とは異なり、水量は川の水の変動に影響される。

 このため、敷地内に雨が多く降ると、一時的に、地面の上に水が多く溜まっている状態となるものの、地中への浸透に優れるため、水はけは良い。

 敷地内からは、雨水などが過剰に流れ出ない設計としているが、こうした特徴を考慮し、想定以上の大雨が降り、一時的に地面の上に溜まる水が極端に多くなった場合に備えて、浸透池を築いた(図4)。

図4●発電所の南端に、東西に長く浸透池を築いた
図4●発電所の南端に、東西に長く浸透池を築いた
大雨が降った場合、雨水は北から南に向かって下り、浸透池に流れ込む(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 北から南に下るように勾配しているので、二つの区画とも、浸透池は南端に設置した。敷地の東西をカバーするように、細長く築いた。大雨が降った場合、雨水は北から南に向かって下り、この浸透池に流れ込む。

 排水対策の効果は想定通りで、8月末の台風10号の際に監視カメラで確認すると、地面の上や浸透池に、一時的に水が溜まっても、すぐに水が掃ける様子がわかったという。