オオタカの古い巣の跡

 施工中の1カ所と合わせ、三つの区画のメガソーラーは、同時に開発を始めた。

 茨城県北茨城市華川町にあるメガソーラーの開発が縁となった(関連記事4)。この発電所の土地を所有している企業から、グループ企業の持つ遊休地として紹介され、賃借してメガソーラーを開発することにした。

 三つの区画で同時にメガソーラーを開発しながら、竣工時期が1区画のみ約半年間も遅れるのには理由がある。

 後から竣工する1区画の敷地から、オオタカの営巣跡が見つかったためである。オオタカは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)に基づく国内希少野生動植物種に指定されている。

 同発電所が立地する那須塩原市では、栃木県の「自然環境の保全及び緑化に関する条例」と那須塩原市の「希少野生動植物の保護に関する条例」に基づき、一定の規模以上の開発行為には、条例に基づいた自然環境の保全計画を策定しなくてはならない。そのためには、環境アセスメント(環境影響評価)が必要になる。

 今回のメガソーラーの開発は、区画ごとに施工の時期が異なる計画であることから、この条例の対象とはならなかった。しかし、オオタカが生息している可能性があるため、自主的に調査した。現地で自然保護活動に関わっているオオタカ保護基金と相談しながら進めた。

 見つかった巣の跡は、古いもので、最近は使われていなかった。その後、2年連続してヒナが巣立っていないことも確認した。さらに、メガソーラーの開発を予定していた残りの二つの区画の敷地についても、3回にわたって調査した結果、現在はオオタカの生息や飛来のないことがわかった。

 この調査結果を受けて、それぞれの区画にメガソーラーを開発した。当初の開発計画から、7月に稼働した二つの区画で約8カ月間、巣の跡が見つかった一つの区画では約1年間、それぞれ進行を遅らせることになった。