能登半島の付け根近くの山あい、富山県高岡市西田に、出力約2.5MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「西田発電所」がある(図1)。

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図1●富山県高岡市西田に立地
図1●富山県高岡市西田に立地
出力約2.5MWの「西田発電所」(出所:上はイセ食品、下は日経BP)
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 元は、養鶏場だった場所で、鶏卵を手がけるイセ食品(埼玉県鴻巣市)グループが開発・運営している。同社グループでは、ISEパワー(東京都港区)が再生可能エネルギー発電を手掛けており、西田発電所もISEパワーが発電事業者となっている。

 養鶏場の跡地をメガソーラーに活用する場合、利点も多い。鶏舎の建っていた場所は平坦な上、地面はコンクリート舗装されている。敷地までの道路はトラックが通行でき、送電線や水道が敷設されているなど、基本的な設備の一部が整っている。

 同社グループでは、養鶏場跡などのグループの所有地や、養鶏場の用地として取得したものの未活用だった土地、同グループの伊勢彦信会長の所有地などを活用し、太陽光発電所を開発・運営している。

 養鶏場跡などの土地が多いのは、養鶏の分野では、技術革新によって、従来よりも生産単位あたりの設置面積が少ない新型の鶏舎で(図2)、より多くの鶏卵を生産できるようになったことによる。

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図2●ウインドレスの新型鶏舎の例
図2●ウインドレスの新型鶏舎の例
養鶏場の面積当たりの生産性が向上(出所:イセ食品)
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 新型の鶏舎は、窓のないウインドレスの構造で、光や気温、湿度、気流などを、外部の環境に左右されずに制御・管理できる。外部との接触を抑えられることから、鳥インフルエンザ対策の有効な手法ともなっている。

 鶏の数も増やせる。従来の開放型の鶏舎の10万羽規模に対して、ウインドレスの新型鶏舎に変えると、100万羽を超えるなど、鶏舎あたりの養鶏数が1ケタ上がるという。

 これらにより、養鶏場の面積当たりの生産性が向上し、遊休地が増えてきた。

 イセ食品グループは、国内の鶏卵市場で10%を超えるシェアを持つ鶏卵の最大手。その分、技術革新によって新型鶏舎に集約され、廃止される従来型の鶏舎の数も多い。

 従来型鶏舎のあった土地や、鶏舎の設置を見越して取得していた土地は、主に北陸や北関東、東北に多い。こうした土地のうち、太陽光発電に向く場所を活用している。