乗用型草刈機に支障ない範囲で新設

 2017年に新たに設置した太陽光パネルは、第1~第3発電所内の空いていたスペースに設置した。余裕を多めにみて太陽光パネルを配置していたために、パネルを積み増せる余地があった。

 初期に開発されたメガソーラーほど、余裕を持って太陽光パネルが配置されている傾向がある。三交不動産のメガソーラーでも同様で、とくに稼働時期が早かった第1・第2発電所では、余裕を大きくとった配置となっていた。

 三交不動産では、この後、多くの太陽光発電所を開発・運営していく中で、敷地内の余剰スペースを、現状より少し減らしても、適切な運用・保守が可能と分かってきたという(関連コラム)。そこで、その場所に太陽光パネルを並べることで、発電所の事業性を向上させることを検討してきた。

 多くの発電所で、こうしたスペースの状況を調べた上、そこに太陽光パネルを並べるための費用などとのバランスを検証し、パネルを追加している。

 こうした認定取得後のパネルの増設(事後的過積載)は、今年8月31日の制度変更により、増設分が3%もしくは3kWを超えた場合、買取価格が最新の単価に変更されることになった。制度変更前までは、売電収入を増やす有効な手法として、多くの発電所が採用した。

 伊勢二見のメガソーラーでは、南端に1列分、東西のフェンス際、中央の通路脇などに、太陽光パネルを加えた(図4)。

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図4●南端や東西のフェンス際などに太陽光パネルを追加
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図4●南端や東西のフェンス際などに太陽光パネルを追加
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図4●南端や東西のフェンス際などに太陽光パネルを追加
1m超の隙間があれば、乗用型草刈機が走行できる(出所:日経BP)

 例えば、東西のフェンス際では、1m超の隙間があれば、適切に管理できることがわかり、残りの場所に太陽光パネルを追加した。

 この「1m超」という基準は、同社が活用している乗用型草刈機の走行に支障がない範囲となる。O&M(運用・保守)は、自社グループで担っており、その一環で、乗用型草刈機を使って、雑草の高さを一定以内に管理し、雑草による発電ロスを抑えている(関連コラム)。

 追加した太陽光パネルは、既存のパネルとは設置の工法が異なる。既存の太陽光パネルは、コンクリート基礎と鋼製の架台を使って支えている。

 これに対して新設分は、送電ケーブルを地中埋設している一部の場所を除き、杭基礎とアルミの架台を使って支えている。施工性とコストなどを考慮したためとしている。

 例えば、東西のフェンス際の場所は、比較的狭いスペースで作業することになる。こうした施工環境も、杭基礎を採用する理由の一つとなった。

 追加した太陽光パネルは、既設分と同じ出力160W/枚品にした。同出力のパネルとすることで、既設のパネルと同じストリング(太陽光パネルを接続箱に入力する単位)、同じPCSに入力しても、最大電力点追従制御のバランスを崩すことなく、既設と新設の両方のパネルが同じように、その時点での最大限の発電量を確保できる構成となっている。