千葉県茂原市は、国内最大の天然ガスの産出地として知られ、ガスや化学工業に関連した企業が集積している。出力1.73MWの「茂原ソーラーユートピア」は、こうした地元の有力企業6社が出資し、茂原市の所有する遊休地に建設したメガソーラー(大規模太陽光発電所)だ(図1)。地元関連企業が主導して、EPC(設計・調達・施工)サービスも担当し、プロジェクトファイナンスを組成し、千葉銀行が融資した。

図1●市の遊休地を活用した「茂原ソーラーユートピア」(出所:東洋ケミカルエンジニアリング)
図1●市の遊休地を活用した「茂原ソーラーユートピア」(出所:東洋ケミカルエンジニアリング)
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 同市は、ガスと同様に地元産のエネルギーである太陽光発電の促進と、遊休資産の有効活用を目的に、2013年6月、市有地での太陽光発電事業者をプロポーザル方式で公募した。住宅団地の造成事業を目指して取得していたものの、事業開始のめどが立たず、30年以上放置されていた3万8035m2の土地だった。林地のほか、一部農地もあった。

 5事業者が公募に応じて企画書を出し、2013年7月にその中から採択されたのが、東洋ケミカルエンジニアリング(東京都港区)の提案だった。同社は、三井化学の茂原工場のプラント建設や保守から創業し、成長してきた。本社は東京都内に置いているが、最大の事業拠点は茂原市となっている。「太陽光発電事業を通じて地域に貢献したいという考え方に賛同してくれた地元企業の出資により事業化するなど、利益の地域還元を優先した提案内容が評価された」と、東洋ケミカルエンジニアリング・エネルギー関連事業部の北村祟事業部長は言う。