2サイト組み入れ分配金を増やす

 メガソーラー事業の所有者がいちごECOエナジーから、いちごグリーンインフラ投資法人に移ったといっても、いちごECOエナジーは同投資法人から発電所の運営を委託され、同投資法人(管理会社・いちご投資顧問)と連携しつつ、アセットマネジメントも担っている。

 15サイトの発電事業は、固定価格買取制度(FIT)により、売電価格と期間が確定しているため、営業収益は相対的に安定しており、日々の日照変動も年間で見れば、ほぼ予測の範囲に収まると見ている。上場後7カ月の発電量は、予想値に比べ2%の上振れとなっている(図4)。この場合の予想値は、事業計画策定に際し技術コンサルタントが作成する超過確率50%での予測発電量である「P50」をベースにしている。

図4●発電量と発電収入の推移(13発電所)
図4●発電量と発電収入の推移(13発電所)
(出所:いちごグリーンインフラ投資法人)
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 加えて、同投資法人の場合、仮に実際の発電量が予想を大幅に下回っても、オペレーターであるいちごECOエナジーが保証するため、基本収入を受け取れる仕組みになっている。一方で、発電量の上振れ分は、投資主への還元原資に充当している。

 投資法人が公表した長期分配金の予想では、2サイトの増加により、2018年6月期の1口当たり分配金の予測は7180円となり、550円(8.3%)増加する見込みだ。それ以降の予測では、2021年6月期には7640円に増え、ピークとなる2023年6月期には8190円と見込んでいる。2023年6月期まで分配金が増えるのは、投資法人の創立費償却費など3~5年間に計上する費用がなくなっていくからだ。

 また、2024年6月期以降に想定している分配金の減少は、太陽光パネルなどの経年劣化による発電量の目減りとパワーコンディショナー(PCS)など一部設備のオーバーホール(更新)を折り込んだものだ(図5)。

図5●10カ年長期分配金予想(2017年6月28日修正・15発電所)
図5●10カ年長期分配金予想(2017年6月28日修正・15発電所)
(出所:いちごグリーンインフラ投資法人)
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 メガソーラーを資産としたインフラファンド銘柄の場合、資産の大半は発電設備で減価償却の対象となり、実際の現金収入(キャッシュフロー=FFO)と減価償却後の会計上の利益の差が大きくなる。このため、現金収入を積極的に「利益超過分配金」として投資主に還元しているのが特徴となっている。