香取市は、千葉県の北東部、成田空港から約15kmに位置する。2006年に、旧佐原市、小見川町、山田町、栗源町の1市3町が合併し、香取市となった。佐原は水郷地帯として知られ、舟運で栄えた。北部には利根川が東西に流れ、その流域には水田地帯が広がる。

液状化で噴き出した砂を敷き詰める

図1●香取市が直営で運営する「香取市与田浦太陽光発電所」(出所:香取市)
図1●香取市が直営で運営する「香取市与田浦太陽光発電所」(出所:香取市)
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図2●干拓地に設置したため、地下水が浸み出している地面も(出所:日経BP)
図2●干拓地に設置したため、地下水が浸み出している地面も(出所:日経BP)
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 出力約2MWの「香取市与田浦太陽光発電所」は、そんな水田地帯の真ん中にある(図1)。近くにある与田浦は、利根川の堆積作用で砂州に取り残された湖沼。実は、太陽光発電所を建設した土地も、かつてはその一部で、県の干拓事業によってできた土地だ。

 干拓による土地改良事業で、市有地として割り当てられたものの、田んぼに囲まれた軟弱な地盤なこともあり、未利用地になっていたという。発電所内に入ると、用地の半分程度は、地下水が浸みだしており、かつて沼だったことを思わせる(図2)。

 実は、同発電所の建設には、東日本大震災が大きくかかわっている。発電所内で乾燥している半分程度の地面を見ると、一面に砂が敷き詰められている。

 この砂は、東日本大震災による液状化で市街地などに噴き出してきたもの。復旧工事で撤去した砂の一部を運び入れた。液状化で排出した大量の砂の処理と、発電所用地の地盤のかさ上げが同時に解決し、一石二鳥だったという。